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「(吹) ハリー・ポッター20周年記念:リターン・トゥ・ホグワーツ」をようやく見て思うこと

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はじめに

Harry_Potter_Book_and_Wand

Harry Potter Book and Wand - Category:Harry Potter (franchise) - Wikimedia Commons

ようやくこれを見た。やっぱり僕らの世代にとってのHarryPotterってのは非常に大きな存在で、確実に自分の人生に大きな影響を与えている、素晴らしい作品だと思う。 今なお魅了される人々が増えていっているのもそういうことじゃなかろうか。

自分とHarryPotterとの出会い

自分が初めてHarryPotterを知ったのは小学生の高学年の時、当時毎日のように一緒に行き帰り通学していた女の子(付き合ってません)に学校の図書室で勧められた時たった。

当時自分はだいぶ本の虫な小学生ではあったものの、シャーロック・ホームズやアルセーヌ・ルパン、西遊記封神演義などを主に読んでいて、あんまりピンとこなくてその時は読まなかったように思う。

その後HarryPotterの映画予告なんかもテレビで流れていたものの、強く印象に残るほどではなかった。

中学校に入って、夏休みの読書課題で本を選ぶときにHarryPotterを思い出して、まずは賢者の石を借りて帰った。

それをベッドで読み始めた晩は人生で初めて徹夜した日で、一気に読破した。その後、学校と市立図書館の貸出枠をめいいっぱい使ってシリーズ全部借りて、夏休みの課題そっちのけで読み耽ることになった。

特に、HarryPotterと不死鳥の騎士団を読んだ時は、ちょうどそれはそれはすごい雷雨の日で、落雷で停電する中、LEDランタンの明かりで雷に震えながら読みふけっていたのをよく覚えている。

しばらくして先に述べた別の中学校に進んだ女の子の家に遊びに行ったときに、炎のゴブレットのDVDを譲り受けた。これで映画版にもハマり、レンタルで全巻視聴することになった。

あんまりHarryPotterにハマっているのをみた私の叔母が、HarryPotter全巻をゆずってくれたので、そこから学校の宿題をそっちのけで読みふけっては親に怒られるのを繰り返した。当然にして学校の成績は下がった。

なお同じ頃、英語版の賢者の石の本を買って読み始めたが、文法的にはわかるものの知らない単語が多くて、心が折れるなどした。英和辞書で単語を引いて、緑のボールペンで書き込んだので書き込みだらけになっている。

成長する登場人物たちと俳優たち

HarryPotterシリーズをおそらく多くの人は映画で知っているのだと思う。翻訳版の原作は特に第5作品目の「不死鳥の騎士団」以降、それこそ鈍器か?ってくらい分厚いし、尻込みしてしまう人も多いだろうから。

HarryPotterシリーズは原作と映画がリアルタイムで同期しながら公開されていった。作品の中で登場人物たちが成長していくにつれて、それを見ている私達も成長していった。

と同時に重要なことは公開された映画に出演する俳優たちも成長していったということ。彼女たちも悩みあふれるティーンエイジャーという時のなかでこの作品を演じていたのだから。

この「リターン・トゥ・ホグワーツ」でもそのことに対する言及がたくさんあった。特に「僕らが経験したことは僕らにしか分からない特別なことだって、デヴィッド監督は君らは宇宙飛行士だって。こんな環境で育った子どもは僕らしかいないから。だから3人の絆は永遠だ。(1:20:25付近)」とルパート・グリント(ロン・ウィーズリー役)が語っていたことはそれを象徴していると言っていい。

ルーナ・ラブグッド

自分がHarryPotterの登場人物でもっとも影響を受けたのはおそらく、ルーナ・ラブグッドだと思う。自分ははじめそのキャラクターを映画の予告映像でみて、そして原作(翻訳)をよんで、そのあと映画をみて知った。彼女の不思議なことを信じる力、想像力は自分に大きな勇気を与えてくれたと思う。

自分自身、周囲とはだいぶ違う子どもだったので、それがきっかけでいじめられたこともあったし、普通じゃないことに対する葛藤みたいなものもあった。

主人公のハリーも、「普通」であることを強く求めるダーズリー家でだいぶ苦しんでたが、やっぱりルーナの存在は本作品でも飛び抜けていて、彼女のような生き方もあるんだというのは、あとになってみれば、大きな救いになっていたのだと思う。

ちなみに映画予告なんかでも出てくるルーナがスキップしながら廊下を歩いているシーンが好きになりすぎて学校で真似したら、周囲からますます浮きました、それはそう。

親からお前の挙動は芝居がかっていると言われるのだが、絶対にルーナのせいだと思う。

社会人になった今から思うHarryPotter

冷静にHarryPotterのストーリーを眺めていると色々とツッコミどころはある。アルバス・ダンブルドアよお前それでも教育者かよとか、魔法省の立ち位置を私達が今暮らしている現代国家観のなかの政府と同じに見ることはできないなとか、純血主義ってえらくメンデルの法則から生まれた優生思想に影響されている「マグル」らしい思想じゃねとか・・・。

そういうツッコミをしつつ、原作を直接読むことこそ減れども、二次創作という形でHarryPotterをいまなお接種し続けている。それは学生時代の宝物を取り出して磨くような、そんな作業なのかもしれない。

余談: フクロウの「傍受」という訳

ハリー・ポッターシリーズ - Wikipedia#日本語の誤用

原文:he said the owls might be intercepted.

「あの人は、ふくろうが途中で傍受されるかもしれないといってた」と訳されている。"intercept" には途中で捕らえる・(電波を)傍受するという意味があるが、この場合可能なのはふくろうを捕獲して連絡内容を調べることである。そもそも、傍受は電波に用いる語なので日本語として間違っている

週刊文春のこの指摘は未だに納得行ってない。傍受という言葉は電波に限らず、通信に対して用いる語ではないか。例えば「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律」では次のように有線通信に対しても用いている。

第二条 この法律において「通信」とは、電話その他の電気通信であって、その伝送路の全部若しくは一部が有線(有線以外の方式で電波その他の電磁波を送り、又は受けるための電気的設備に附属する有線を除く。)であるもの又はその伝送路に交換設備があるものをいう。

2 この法律において「傍受」とは、現に行われている他人間の通信について、その内容を知るため、当該通信の当事者のいずれの同意も得ないで、これを受けることをいう。

また無線通信とはなにも電波によるものに限定されない。例えばジョークRFCとしておなじみRFC1149(鳥類キャリアによるIP)では伝書鳩の上にIPを実装する例を示している。

HarryPotterの作品で描かれるフクロウによるやりとりの描かれ方では、現実世界の伝書鳩よりも遥かに信頼性が高く、「通信」足り得る。

故に「傍受」という訳が適当ではないという批判は当たらない。